コラム

花の香りはいかように

時折、買物の際に​花屋を訪れると、あの何とも言えない花々の香りに癒され、心地良い気持ちになります。
それと同時に、パブロフの犬ではありませんが、私にとっては、花の香りが「舞台での演奏」というイメージと強く結びついているのも事実です。それは、幼少時には発表会で、そして十代になってからはコンサートで花束を頂く様になった事が理由で、とりわけ洋花の香りが漂うと、無意識のうちに背筋がピンとなってしまいます。
しかし、お花を頂く事、そして自身で選んで購入する事に対して、年齢を重ねるごとに喜びが増してきているのは事実です。それは、物とは異なった儚い美しさや香りを愛でる行為には有限という価値があるとわかる様になったからかもしれません。

さて、春の花と言えば桜ですが、ソメイヨシノはほぼ無臭に近く、ユリとは対照的で、日本人の様に控え目な感じがします。
極甘党の私は、桜の香りとして真っ先に思い浮かぶのは「桜餅」の香りですが、読者の皆様はいかがでしょうか。
実は、ピンク色のお餅が包まれている葉は、ソメイヨシノではなく、それよりも香りの強いオオシマザクラという品種のものだそうで、塩漬けにする事であの独特の香り(クマリンという成分)がより濃厚に感じられるのだそうです。何とも言えない、和の香りを漂わせていて、子供の頃は苦手だったのですが、今ではお餅と葉を一緒に頂く事で喜びを感じています。

フランスでも、桜はそのまま「サクラ」と呼ばれ、フジヤマと同様に日本を象徴するものとして人々の間で浸透しています。
春の季節になると、ロクシタンでは他のブランドで見掛ける事のない、桜の香りを用いた製品が登場しますが、まさに海の向こうで創り上げられた、おそらくイマジネーションも込めた「サクラ」という言葉がぴったりの、甘く強い存在感のある香りです。
今の時期は、そのヨーロピアン・スタイルの濃厚なサクラの香りをバスタイムで楽しみ、そして外に出掛ければ、本物の桜を眺めながら、ほのかに漂う淡い香りを感じるのが、両者は大変対照的ですが、私の心身のリラクゼーションのひとときとなっています。

2026.03.29 23:15

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