コラム

ミステリーを感じるパン

幼稚園に通っていた頃、おやつに時折メロンパンを食す事がありました。
口いっぱいに頬張り、味わいながら、しかしいつも心の中では「メロンの味がしないのに、どうしてメロンパンと言うのだろう?」と、不思議に思っていました。そのうち、おかしな想像をし始め、「いや、きっとお母さんのメロンから生まれたけれど、悪魔に魔法をかけられて、パンにさせられてしまったんだ! なんて可哀そうなパンだろう…」、とひとりで奇妙な理屈(?)を作り、納得していたのでした。

メロンパンに「何故?」を感じる大人もいるでしょう。
都内に住む、日本語が堪能なフランスの友人は、まだ東京に来たばかりの頃に、近所のベーカリーでメロンパンを初めて目にし、興味津々でひとつ買ってみたのだそうです。
楽しみにして家に帰り、口にしてみると、「えっ?」。そして、食べても、食べても、いっこうに「肝心のメロンが出てこない…!」。そして完食。「私は、完全にだまされたのよ! メロンなんかどこにも入っていなかった。しかも、メロンは英語なのに、パンはフランス語で、何かしっくりこないネーミングでしょう?  ミステリーを感じるパンだわ!」と、笑いながら話してくれました。

「メロンパン」と名付けられた理由には諸説あるそうですが、一般的なものは、パンの表面のサクサクした生地に、マスクメロンの格子模様が入っているため、そこからメロンパンと呼ばれる様になったという説です。これにも、意図的にメロンに似せて作った、という説と、最初に作られたパンの皮が偶然ひび割れてメロンの様になってしまい、以後それがモデルとして作られる様になった、という両方の説があります。
また、紡錘形のパンであったために、その形から来ている、と言う説も聞かれています。昭和20年代に、神戸のベーカリーで作られていたパンの形が、当時のメロンと呼ばれていた “まくわうり” に似ていたため、そこからメロンパンという名称になったという事の様です。また、そこで使われていた紡錘形の型の別名が “メロン型” と言われており、それに因んでメロンパンと名付けられたという由来もあります。
あまり知られていないものには、“メレンゲパン” が変化してメロンパンになったという説もあります。パン生地にビスケット生地をかぶせて焼く事で、サクサク感が得られますが、そのビスケット生地に卵白を泡立てたメレンゲを加えるため、メレンゲパンと呼ばれ、そのメレンゲパンが、人々の会話の中で次第にメロンパンになっていったと考えられています。

こうして追究してゆくと、非常に興味深いメロンパンですが、甘くて優しいお味の元祖メロンパンのみにあらず、中にホイップクリームが入ったものや、演奏でも度々訪れている神戸のご当地「白あん入りメロンパン」と言った、いわばバリエーションの様なものも、豊富に存在しています。
絶品は、以前に知り合いから北海道旅行のお土産で頂いた「夕張メロンパン」(パンの中からあふれるほどのメロンクリームが出てきます!)でしょうか。もし私のフランスの友人が、これを最初に食していたら、間違いなく日本のメロンパンに納得できていた事と思われます。

ミステリーの解明はここまでとして、少し現実的なお話です。
大変美味しいメロンパンではありますが、1個あたりのカロリーはなんと500kcal近くあり、糖質も60g程となっているため、あらゆるパンの中でも突出していると言う事ができます。カロリー・糖質がきわめて高く、脂質もまた高いという点は、常に頭に置いておく必要がありそうです。
私もそうですが、糖質制限をなさられている方は、何か自分へのごほうびとして、1年に数回程度、食すのが良いかもしれませんね。

2021.05.13 23:35

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