コラム

現代の人々に音楽は何をもたらす事ができるのか

暖冬であまり寒さを感じないせいでしょうか、はたまた過ぎゆく時の流れを味わう余裕がないせいでしょうか… 気が付きましたら、あっと言う間に年の瀬となっていました。
本年も残す所わずかとなりましたが、皆様はどの様な一年を過ごされましたでしょうか。

「音楽は癒しである」とはよく言われますが、果たしてそれが何を意味しているのか、学生の頃からずっと考えを巡らせてきました。
様々な書物を読み進めるうちに、単純に「癒される」という感覚を得られるのではなく、音楽を聴く事で、人の身体の中で何かが起き、その結果として快いと感じられる気持ちや、また心の浄化がもたらされるのだという事を知り、自身の問いへの答えも、少しずつですが見えてきた様に感じています。
「音楽の癒しとは何か」を、科学的に分析できる現代であるからこそ、この様な理解も得られたという事になるのでしょうが、テクノロジーの進歩の恩恵を受け、音楽を鑑賞したり演奏する事によって、人々の脳がどの様に作用するかについても解明され、単にエンターテインメントに留まらず、音楽が現代の人々に何か新しい価値を提供するであろう事が証明されつつあります。
こうして分析されると、古代のヒポクラテス以前の人々は、まだ薬のなかった時代に、何故音楽を病気の治療のために用いたのか、彼らが行った演奏が実は理に適っていたのだという事がわかりましたし、一見すると原始的ですが、大変ロジカルな方法であった訳ですね。

「音楽があなたの人生の重責を振り払い、他の人たちとあなたの幸せを分かち合う助けとなる様に」
これは、来年に生誕250年を迎える、楽聖ベートーヴェンが残した言葉ですが、音楽が人々にもたらす精神的な作用のみならず、音楽鑑賞を通じて聴衆と奏者が、或いは聴衆同士が繋がるという事の大切さについても、発信者や受信者の“本当の” 顔が見えづらいSNSでのコミュニケーションが最たる時代にこそ、追求を続けてゆけたらと願っております。
本年も、多くの方々にコンサートへお越し下さり、またこのウェブサイトで温かい応援のメッセージを頂きました事を心より感謝申し上げます。
来る2020年が、皆様にとって素晴らしい年となります様にお祈り致しております。

塩見 貴子









2019.12.31 23:55

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