コラム

ひとつだけに決めるのは難しい

本年はベートーヴェン生誕250年にあたる記念イヤーとして、全国各地でこの偉大な作曲家によるチクルス・コンサートが華やかに催されるはずでしたが、新型コロナ流行の影響により、多くのコンサートが中止または延期されたため、音楽ホールで鑑賞する事は難しいものとなっています。
その様な状況の中、テレビやラジオのメディアでは、「ベートーヴェン・あなたのベスト・ランキング」というテーマでのリクエスト投票による音楽番組をよく見掛けます。どなたでもご自宅から参加でき、また気軽にベートーヴェンの作品に触れられるこの様な企画は、感染症予防対策としても大変理想的なものと思われます。
ただ、彼の作品を(投票者が)ただ一曲選ぶという事等、本当にできるのだろうかと、私は難しく考えてしまうのです。
単に交響曲だけ取り上げるとしても、一体どれを「一番良い」とか「一番好きだ」と言えるのでしょう。「運命」でしょうか、「第九」でしょうか、「田園」でしょうか・・・。その様な崇高な作品に、どの様にしてランクをつけられるというのでしょうか。
弦楽四重奏曲や、またピアノ・ソナタにしても然りです。そして、たった5曲しかないピアノ協奏曲でさえ、私には「これが一番」とは到底決められません。とりわけ3番から5番までは、ひとつだけ選ぼう等という事自体がきわめて困難です。何故なら、全てが唯一無二の素晴らしい作品であるからです。
では、例えばよりシンプルに、「ベートーヴェン・あなたの思い出の一曲」というテーマであったとして、これでもまだ私には、何日考えても、たったひとつには絞れないのです。
おそらくそれが意味するのは、人生の各ステージで、ベートーヴェンの音楽には深く関わってきた証であるという事かもしれません。そして、尊い作曲家ではありますが、心に近い存在である事を、私自身は確信しています。
さて、このコラムをお読み下さった方で、「私はベートーヴェンのこの一曲を選びますよ!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ理由を添えて、お知らせ下さい。
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2020.09.30 23:55

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