コラム

「百冊の本」から得た知識に勝るものは?

昨今では、ダイエット法のひとつとして、炭水化物やスイーツ等による糖の摂取を極力減らして、余分な体重を落としましょう、という「ローカーボ(低炭水化物)」いわゆる「糖質制限」による食事療法が盛んに言われる様になり、一般にも広く浸透しています。
実は、私自身も大変関心を持ちまして、健康的に無理なく(?)、スリムになれるならば、ぜひ実践してみたいと考えました。

初めて耳にした際には、「糖質制限」とはなんぞや? と思いましたが、或る偉い方に「例えその分野に知識がなくとも、百冊くらい本を読めば、曲がりなりにも少しは知る事ができるものだよ」と教えて頂きましたので、それならばと、専門的で難しいものから、完読するのに30分も掛からないものまで、百冊、いえ百冊以上でしょうか、全てに目を通してみました。
テーマの如何に関わらず、この「百冊の本のルール」は、自身の専門の音楽以外の知識を学ぶ上で、大変役に立つ方法のひとつとなっています。

いずれの本もじっくりと読みながら、理論と方法、またメリットとデメリットについて学び、把握しましたが、もし糖質制限を生涯続けた場合に(肥満やメタボを逃れ、理想体重を維持できたとしても)、糖質を摂取した人と比べて、制限した人が長きに渡り(寿命を全うするまで)より健康でいられるかについてのエビデンスは残念ながら得られていない、という事についても知りました。

しかしながら、いざ実践となると、本人の尋常ではない(?)意思の強さが必要である事が判明しました。
何故なら、元来お酒にもたばこにも縁のない私自身のささやかな楽しみが、日々の“スイーツ”であり、これを断ち切らなければならないとなると、実行する前から、もう想像するだけで気持ちも萎えてしまうのです。
心を鬼にして、ただ「口にさえしなければよい」だけの事ですが…
食べたいという欲求は、頭では理解していても、なかなか容易には抑えられません。

この場合、私には、百冊の本から得た貴重な知識より、独り滝に打たれて「精神鍛錬」をする事の方がむしろ有益である、と言っても間違いはなさそうです。

お菓子やケーキ等の糖質が、人間の体にとって不要である事には疑いがありませんが、果たして白米等のご飯、パンやパスタが完全にそうであるのかは、まだ議論される余地が大きくある様に思われます。
炭水化物を「食べるべきか、食べざるべきか」
個々の置かれた状況により「それが問題」となるのですから。



2017.08.28 22:50

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