コラム

「第9回川棚・コルトー音楽祭」のお知らせ

今冬は、大寒波の襲来により、全国的に稀に見る降雪の多さですね。日本にいながらにして、これほどの雪を見たのは、初めての経験です。
随分昔ですが、ヨーロッパを移動する際に、飛行機で経由するため、一度ロシアの空港に降り立った事があります。夜も遅い時刻でしたが、窓から見える景色は、白い雪、そして雪… どちらを見渡しても、辺り一面、恐ろしいほどに積もった雪ばかり…。空港の外の静寂な世界から、氷点下の突き刺さる様な寒さが、建物の中のこちらまで伝わってくる様でした。
そんな時、ふとラフマニノフのピアノ・コンチェルト第2番の第2楽章のメロディーが、頭に浮かんできたのです。美しさの中に、厳しさと寂寥感を持つこの作品を思い起こしながら、その時、偉大なラフマニノフの創作活動におけるインスピレーションには、祖国ロシアの極寒の冬が少なからず与えたものがあったであろうと確信しました。ラフマニノフ自身が送った人生の冬の時期と、またロシアの冬は、酷似している様にも考えられます。
そのロシアの“冬”を僅かながら体感しつつ、あの美しいモチーフが生まれた瞬間を想像しました。

この様な厳しい寒さの後に迎える春は、(今年は日本でも!)喜びもひとしおでしょうが、いっそう待ち遠しいものとなるのではないでしょうか。
さて、そんな季節に相応しい、心を浮き立たせてくれる様な音楽イベントのお知らせです。
既に春の恒例となりました「川棚・コルトー音楽祭」も第9回を迎え、益々充実したプログラムでお届けしてまいります。
「今年は、どんなアンサンブル(=異なる楽器奏者のコラボレーション)が聴けるのかしら?」と楽しみにして下さっている方も多いかと存じますが、「川棚・コルトー音楽祭」は開催毎に異なった、様々な楽器編成で行われているのが、ひとつの大きな特徴です。
この度は、なんとアンサンブルではなく、初のピアノ・ソロリサイタルという事で、自ずと期待も高まります…!
第9回にお迎えするアーティストは、現在パリ国立高等音楽院で教授を務められ、フランス音楽界の第一線で活躍される注目のピアニスト、エマニュエル・シュトロッセ氏です。

「第9回川棚・コルト―音楽祭・京都フランス音楽アカデミー特別演奏会 ~コルトーが好んで演奏した作品たち~」
・開催日時:2018年3月18日(日) 午後3時開演(午後2時30分開場)
・会場:川棚の杜・コルトーホール
・プログラム:J.S.バッハ「パルティータ第2番」, フォーレ「主題と変奏」, ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」, シャブリエ「気まぐれなブーレ」ほか
・入場料:全席自由 一般 3500円(当日4000円), ペア(前売りのみ)6000円, 高校生以下 1500円(当日2000円)
・お問い合せ(お電話でのチケットご予約、お取り置きが可能です):川棚の杜・コルトーホール Tel 083-774-3855

シュトロッセ氏の十八番(おはこ)とされるシャブリエの作品を始め、これぞフランススタイル(=アメリカや日本の様に技巧的な作品ばかりを重視し、盛り込む選曲方法とは一線を画す)と言うプログラミングで、洗練された音楽の数々を堪能できるマチネとなりそうです。
日本では、なかなかシュトロッセ氏のソロを聴ける演奏会が少ないという事もあり、ピアノ愛好家の方は必聴のコンサートと言えるかもしれません。
ご興味頂けた方は、どうぞお早めに、チケットの確保をお願い申し上げます。
音楽祭は初めて、と仰る方も、またリピーターの方々も、より多くの方々に“コルトーと川棚を結ぶストーリー”やホールについて、お知り頂ける機会となりましたら幸いに思っております。























2018.02.19 23:55

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