コラム

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、お健やかに清々しい年をお迎えの事と存じます。
2020年の日本は、東京オリンピックで話題が持ち切りとなりそうですが、私自身の関心は、ベートーヴェン・イヤーに因んで、既にこの偉大な 三大B”のひとりの作曲家に向いている様です。
海外からアーティストが来日して、シンフォニーからコンチェルト、ピアノ・ソナタまで、様々なベートーヴェン・チクルスによる名演を聴かせてくれるでしょうから、大変期待して楽しみにしております。

とにもかくにも、年始から私はベートーヴェンの音楽に救われる事になりました。
病院での判定検査は陰性ではあったものの、否、これはインフルエンザに間違いない…(!)という症状に苦しまされ、元日から5日間もずっと寝込んでいたのです。
お陰で、寝正月をすっかり満喫(?)しました…。
食欲は落ちましたが、何とかお節を頂く気力だけは残っており幸いでした。
体調を崩した時には、やはり栄養を摂って、体を休める事が第一ですが、また心を元気づける事も必要になってきます。
幼い頃は、風邪に罹ると、ベッドに横たわりながら、ケンプやバックハウスの弾く「月光」や「熱情」を聴き、それで早く治る様な気がして、また自分の心が強くなれる力を与えられた様に感じておりました。

完全な独断で恐縮ですが、どうも病気の時はショパンやシューマンがベスト・チョイスにはならないのですね。ロマン派特有の「私」の主観的な訴えや、彼らの表現した生きる苦悩へのシンパシーを聴き手に求められる音楽は、例え美しくとも、病いの身にはいささか負担に思われます。
しかしながら、ベートヴェンは「苦悩を超えたら、歓喜がある」と言った様に、彼の音楽は何か偉大なるものに包まれ、聴き手が力を授けられる様な、崇高な作品ばかりです。
ですから、私もアセトアミノフェンや咳止めの薬を服用しつつ、ベートーヴェンを自らに処方して(!)、何とか辛さをしのいでおりました。
ちょうどタイミング良く、NHK・Eテレでは、シフによるベートヴェンのピアノ・コンチェルトの弾き振り(=ピアノと指揮の両方を一人で担う事)を放送しており、バッハの大家が演奏する「皇帝」を興味深く聴く事もできました。

改めて音楽が与える力について知り得た年始となりましたが、これをきっかけに、2020年のひとつの小さな目標として、音楽が人々に力を与えられる理由について、もっと掘り下げて、それを言葉で明確に伝える事を試みてゆこうと掲げました。
おそらく全ての人が体験し、感覚として理解している「音楽の持つ力」は、何によって生まれるのか、追求してゆくうちに、また新しい発見があるかもしれません。
また、演奏や指導を通して、多くの人々と出会い、語らいながら、一期一会の掛けがえのない時を過ごさせて頂ける事を心より願っております。
それでは、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

塩見 貴子











2020.01.06 23:15

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