ドイツリートを愛される方が増える事を願って…
世界的な邦人女流ピアニストとして不動の地位を築いた、内田光子氏の2冠目となるグラミー賞受賞のニュースがまだ記憶に新しい所ですが、実はソプラノ歌手のドロテア・レシュマン氏と共に行った、内田氏が敬愛して止まないドイツリートの演奏(ロンドン・ウィグモアホールにおいてのライブ録音)により、この様な栄誉に輝かれたそうです。
これ迄にも、イアン・ボストリッジ氏等との共演で、コンサートでは素晴らしいリート伴奏を聴かせて下さっている偉大なピアニストですが、恐らく十数年前の音楽雑誌のインタビュー記事に、「他の楽器と一緒に演奏する室内楽にはあまり興味が沸かないが、私の中で歌、リートだけは特別な存在である」と記されていた事を思い起こします。
ピアノによるリート伴奏は、崇高な芸術のひとつとも言えるべき存在で、遥か“伴奏”という域を越え、リートのテクスト(歌詞)から読み取れる詩的情景を表現するために、それは緻密な作業と、そしてデリケートな「人間の声」を支えるピアニストの経験的な勘、また同時に偉大な詩人の残したドイツ語による言葉(テクスト)の背景にある文化や時代について精通するレヴェルのインテリジェンスを絶対的に必要とするものだと、最近改めて感じています。
欧州の人々は教育を受ける中で教養として自然に身につけられるものが、日本人である事によりその「不足している部分」を否応無しに認識させられると言った様な事が大半であり、ハンディを乗り越えるための勉強をして、またこれはいずれの国籍のピアニストにもあてはまる事ですが、実際にはソロ演奏の数倍もの大仕事を抱える事となるのが、実はリート伴奏の本質と言えるのかもしれません。
まだまだ残念ながら、日本ではその芸術性の高いリートの価値について評価される機会があまり多くはない様に見受けられますが、幼い頃より欧州で過ごされ、いわば日本人でありながらヨーロピアン・アイデンティティをも備えられた内田氏の知的で洗練された名演によるディスクを、初めて聴かれた方が、リートの美しさに魅了されその虜となられるならば…! 今後はもっとリート愛好家が増える事を願う次第です。
拙い演奏で恐縮ですが、昨年東京において出演させて頂いたコンサートの折のシューマンの宝石の様なリートがYouTubeでお楽しみ頂けます。
お時間の許す際に、是非ともご覧下さいましたら幸いです!
*ご検索の際には、www.youtube.com/にて「Takako Shiomi」と挿入頂くと、画面のトップに登場致します。
これ迄にも、イアン・ボストリッジ氏等との共演で、コンサートでは素晴らしいリート伴奏を聴かせて下さっている偉大なピアニストですが、恐らく十数年前の音楽雑誌のインタビュー記事に、「他の楽器と一緒に演奏する室内楽にはあまり興味が沸かないが、私の中で歌、リートだけは特別な存在である」と記されていた事を思い起こします。
ピアノによるリート伴奏は、崇高な芸術のひとつとも言えるべき存在で、遥か“伴奏”という域を越え、リートのテクスト(歌詞)から読み取れる詩的情景を表現するために、それは緻密な作業と、そしてデリケートな「人間の声」を支えるピアニストの経験的な勘、また同時に偉大な詩人の残したドイツ語による言葉(テクスト)の背景にある文化や時代について精通するレヴェルのインテリジェンスを絶対的に必要とするものだと、最近改めて感じています。
欧州の人々は教育を受ける中で教養として自然に身につけられるものが、日本人である事によりその「不足している部分」を否応無しに認識させられると言った様な事が大半であり、ハンディを乗り越えるための勉強をして、またこれはいずれの国籍のピアニストにもあてはまる事ですが、実際にはソロ演奏の数倍もの大仕事を抱える事となるのが、実はリート伴奏の本質と言えるのかもしれません。
まだまだ残念ながら、日本ではその芸術性の高いリートの価値について評価される機会があまり多くはない様に見受けられますが、幼い頃より欧州で過ごされ、いわば日本人でありながらヨーロピアン・アイデンティティをも備えられた内田氏の知的で洗練された名演によるディスクを、初めて聴かれた方が、リートの美しさに魅了されその虜となられるならば…! 今後はもっとリート愛好家が増える事を願う次第です。
拙い演奏で恐縮ですが、昨年東京において出演させて頂いたコンサートの折のシューマンの宝石の様なリートがYouTubeでお楽しみ頂けます。
お時間の許す際に、是非ともご覧下さいましたら幸いです!
*ご検索の際には、www.youtube.com/にて「Takako Shiomi」と挿入頂くと、画面のトップに登場致します。
2017.04.16 22:55
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