コラム

芸術と人間を結ぶ役割とは

演奏活動のひとつとして、私自身が力を注ぎ毎年行っているものに、子供達が参加・出演型で、能動的に鑑賞をしてもらえる様、趣向を凝らしたプログラムにより、双方のコラボレーションで創り上げるクラシックコンサートがあります。

彼らは、純粋で非常に感性が豊かですから、大人の様な先入観もなく、知らない作品でも現代音楽でも、心を開いて、興味深々と言った様子で、いつもこちらの演奏に注意深く耳を傾けてくれるのですね。
それが、またある意味でオーラの様なパワーとなって舞台まで伝わり、子供達と我々奏者の互いの熱い“気”がクロスして、何とも言えない感動を生み出すのです。

日頃は隠れて存在している、誰しもが持つ目には見えない不思議な力というものを、まるで音楽が易々と引き出している様にさえ見受けられます。
芸術に導かれて、何か心が開放される瞬間が訪れる、とでも申したら良いでしょうか。

大人は、あらゆるストレスを抱え、大なり小なり忍耐の連続の中で、社会生活を営んでいます。
真実の思いは、皆心に秘めたままですが、やはり最終的に、いつかは外へ向かって開放してやらなくてはならない時があるのかと想像します。

「芸術療法」と言われる、素晴らしいセラピーがありますが、これは音楽に限らず、絵画やダンス等、芸術分野に於けるアクティヴィティを手立てとして、精神症状のある人々が、心の中に押し込められているものを少しずつ吐き出しながら、自分自身を解放してゆくという作業を中心としたひとつの治療法です。

芸術は、自身の様な演奏者が音楽を通して、否応にも余り知りたくはない醜い自己と対峙しなければならないものとして存在する一方で、セラピーとして真実の自己を表出させる助けを担う役割がある事に、深く感じ入るばかりです。

真実の自己、或いは新しい自己の発見に繋がり、また心の成長にも有効な手段であると理解してからは、音楽が単に娯楽や癒しとして提供されるのみに留まるべきではないという事について、考え直し、思いを改める様になりました。



2014.11.25 23:55

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