コラム

「第7回川棚・コルトー音楽祭」のお知らせ

例年よりもやや早く、桜の開花の便りが全国で聞かれる様になりました。
最近或る著書を読み、知り得た事ですが、「日本人のあなたが最も愛する花は何ですか?」という国民へのアンケートの問いに対して、実は長らくその回答が変わっていないのだそうです。
コラムを読んで下さっている皆様は、「これぞ私の花!」の様にお決まりの花があって、特別に好まれるものはおありですか?
さて、アンケートの答えの方は・・・ 女性はバラで(やっぱり!)、男性はなんと桜なのだそうです。理屈で考えずとも、何とは無しに頷ける気が致します。
見た目にもゴージャスで香りも優雅、そして気高いイメージを持つバラには、いかにも女性が愛する要素がふんだんにありますし、それに比較して桜は、大変可憐で清楚、そして香りもほのかで洗練されていて、満開の後は散り去るという大変美しくも儚い花です。
以外にも男性の方が、より繊細さや謙虚さを求めているという事の表れなのでしょうか。
何はともあれ、この日本でまさに国を象徴する桜を愛でるひとときは、春の訪れを五感で感じられるささやかな幸福と、そして同時に移りゆく“もののあはれ”の感情をももたらす、きわめて日本的なスペシャルな瞬間であると言えるのではないかと存じます。

この春の桜の時期に毎年恒例となりましたが、是非とも皆様に上質でエレガントな音楽に触れて頂きたいと願い、第7回目の開催を迎える「川棚・コルトー音楽祭」のお知らせを申し上げます。
2016年コンサートの楽器編成は、ピアノが加わるいわゆる通常の三重奏にあらず、なんと弦楽器のみで構成された大変めずらしい「弦楽三重奏」というもので、貴重な演奏を、パスキエ・トリオがご披露下さいます。
このファミリーネームの“パスキエ”は、フランスでは言わずと知れた名弦楽器奏者のご兄弟のお名前ですが、お兄様がヴィオラを、そして弟様がヴァイオリンを弾かれ、お二方はソリストしてもまたチェンバリストとしてもフランス国内外で大変ご活躍です。
私は、以前フランスの地方で開催された音楽祭で演奏をお聴きし、お二方のフレーズに対する構成の緻密さや呼吸感が、異なる人間が奏でているとはあまりにも信じ難い、完璧でその独奏の様な一体感に驚愕致しました。
終演後に、その事をお伝えしましたら、ヴァイオリニストのレジスさんが、「何か特別に二人で前もって旋律をこうしよう、ああしようと作り方の申し合わせをしている訳ではないけれど、いつも弾いてみたらお互いに考えている事がぴったり一致してしていた、というのが我々の日常茶飯事! やっぱり一緒に育った兄弟だから言葉がなくとも分かるし、きっと同じ血が流れている証拠かな?」と微笑んでおられました。

そのパスキエ兄弟を縁の下で支えるチェリストのピドゥ氏も加わり、名アーティストのお三方による稀有なトリオ、まさに聴衆が息を呑む程に息の合った(!)素晴らしい演奏を皆様も堪能されるべく、是非とも川棚へ足をお運び下さいませ。

「第7回川棚・コルトー音楽祭」 京都フランスアカデミー特別演奏会
【開催日時】4月5日(火) 午後7時15分開演(午後6時45分開場) *午後9時終演予定
【会場】川棚の杜・コルトーホール(JR山陰本線「川棚温泉」駅よりタクシーで約5分)
【出演】パスキエ・トリオ
     ヴァイオリン:レジス・パスキエ
     ヴィオラ:ブルーノ・パスキエ
     チェロ:ロラン・ピドゥ
【プログラム】ベートーヴェン「セレナード ニ長調 作品8」
       ジャン・フランセ「弦楽三重奏曲」
       モーツァルト「ディベルティメント 変ホ長調 K.563」
【チケット】前売り 一般3500円 高校生以下1500円(全席自由) 未就学児入場不可
      *当日は各500円増し(但し、前売り券が完売となった場合、当日券のお買い求めはできませんので予めご了承下さい)  
【主催】コルトー音楽祭実行委員会、川棚温泉まちづくり株式会社
【お問い合わせ】川棚の杜 TEL083-774-3855

















2016.03.21 23:55

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