あなたは何からできている?
タイトルをご覧になって、あれ、アメリカの諺の事かしら? とお分かりの読者は、なかなかに健康志向の高い方です。
「You are what you eat (汝は食べた物で作られている)」
人は日々口にする物からできており、体に良い食品を選ぶ様にするという意識を持つべきである。つまり、食の重要性について、この諺は教えています。
得てして、体に悪い物ほど、アディクションとは行かないまでも、癖になりやすいですし、何故か美味しく感じてしまうのですね。とりわけ、美食三昧の暮しを送られている方は、本来人に備わっているはずの正しい味覚が、知らない間に麻痺している可能性があるかもしれません。
日本における食養生の教えは、古くは貝原益軒が「養生訓」の中で、中庸の大切さを説く事からスタートしました。21世紀の現代では、インターネットを通じて、世界のあらゆる情報が瞬時にして得られる様になり、日本人の「食」のヴァリエーションも無数に広がっています。糖質制限やベジタリアンにグルテンフリー… 今、世の中にこうしたダイエット(食事療法)が一体幾つ存在するのでしょうか。24時間いつでもどこでも、好きな時に食べられる飽食時代にあっては、もはや腹八分でも already too much! だそうで、栄養過多の私達にとっては、それでも充分過ぎる位の腹七分を、心掛けるべきかもしれません。
「たらふく食べたい」という、いわば人間の本能に逆らって、その欲求を上手くコントロールしながら、いかにして健康を手に入れられるか。節制から得られるメリットについては、医学的にも証明されており、理想であるのは百も承知ですが、しかしながら言うは易し、行うは難しです。
世界の五大医学誌のひとつとされるランセット誌において、本年9月にアメリカから、食について改めて考えさせられる論文が掲載されました。
糖質摂取量が、人々の体にどの様な影響を与えるかについての検証ですが、現在多くの国では糖質制限の是非が議論のテーマとなっており、一体糖質の適切な量とはどの程度なのかが非常に注目されています。肥満の方々の短期的な減量という目的を除いて、糖質を制限する事が果たして全ての人に良いのか悪いのか、実際には明確に分かっていないというのが現状です。
この研究では、1日の食事において、炭水化物としてのエネルギー(カロリー)量が総エネルギー量の50~55%を摂取していた人が、40%以下または70%以上の人と比べて、最も死亡率が低かったという事が明らかになりました。糖質摂取過多が体に悪いのは明白ですが、ではごはんやパンをできるだけ少なくさえすれば単純に良いのかと思いきや、炭水化物を減らす事で(不足したエネルギーを補おうと)動物性たんぱく質の多いおかずにしてしまうと死亡率を上げ、またその反対に、大豆や魚等の植物性たんぱく質を多く摂っていた人の死亡率は下がるという結果でした。
最後まで論文を読むと、さほど驚きはない、至極まっとうではないかという風にも感じましたが、いわゆる赤身の肉食を中心とした、彼らにとっては伝統的なスタイルが、まさに健康には害であったという事実が示された研究でもあると言え、改めて和食の基本である大豆製品や魚介類を積極的に摂る事の重要性について理解しつつ、また欧米化され動物性脂肪に偏った現代日本人の食生活への戒めとして、この結果を受け止めました。
さて、私自身はどうかと言いますと、“ほぼ地中海食”を和風にアレンジしたスタイルを、もう何年も続けているのですが、効果があるのか、お陰様で体重や血糖値も正常範囲内に納まっている様です。
この地中海食というのは、健康を維持するための食事療法のひとつですが、至ってシンプルなもので、比較的継続しやすく、以下に沿って日々の食事の献立を考えるだけで良いというものです。
①豊富な野菜と適度なフルーツを取り入れる
②たんぱく質は肉よりも魚介類を多くする
③オリーブオイル、ナッツ、豆類、また全粒粉等の未精製の穀物を摂る
④牛乳やヨーグルトは低脂肪を選び、毎日欠かさない様にする
⑤じゃがいも、赤身の肉、加工肉、スイーツは週に1~2回程度に抑える
⑥お酒を嗜む人は、赤ワインを1日グラス1杯飲む
ただ、“ほぼ地中海食”としている理由は、実はひとつだけなされるべき事が、決定的に行われていない為です。以前のコラムをお読み下さった方は、すぐにピンと来て、お分かりになったかと思いますが…
それは、⑤の「スイーツを週1~2回にする」という、地中海食のあまりにも厳しい掟です(涙)。
秋から冬の寒い季節に、パリの通りでは、遠くから甘い香りを漂わせる「屋台の焼きたてクレープ」が登場します。日本で言えば、ほかほかの石焼いもにでも相当するでしょうか。フランスの冬を象徴する物のひとつです。
極甘党にとって、あの濃厚で美味しいマロンクリームのたっぷり入ったクレープが食べたくなると、ほんの少しだけパリが恋しくなります。
ただ、糖質の多いスイーツばかりでできた自らの体を想像する事は、あまりしたくはありませんね。食という漢字は、「人を良くする」、その様な意味を持つそうですから…。
まずは、1日1回「You are what you eat」と唱える事が肝心の様です。
「You are what you eat (汝は食べた物で作られている)」
人は日々口にする物からできており、体に良い食品を選ぶ様にするという意識を持つべきである。つまり、食の重要性について、この諺は教えています。
得てして、体に悪い物ほど、アディクションとは行かないまでも、癖になりやすいですし、何故か美味しく感じてしまうのですね。とりわけ、美食三昧の暮しを送られている方は、本来人に備わっているはずの正しい味覚が、知らない間に麻痺している可能性があるかもしれません。
日本における食養生の教えは、古くは貝原益軒が「養生訓」の中で、中庸の大切さを説く事からスタートしました。21世紀の現代では、インターネットを通じて、世界のあらゆる情報が瞬時にして得られる様になり、日本人の「食」のヴァリエーションも無数に広がっています。糖質制限やベジタリアンにグルテンフリー… 今、世の中にこうしたダイエット(食事療法)が一体幾つ存在するのでしょうか。24時間いつでもどこでも、好きな時に食べられる飽食時代にあっては、もはや腹八分でも already too much! だそうで、栄養過多の私達にとっては、それでも充分過ぎる位の腹七分を、心掛けるべきかもしれません。
「たらふく食べたい」という、いわば人間の本能に逆らって、その欲求を上手くコントロールしながら、いかにして健康を手に入れられるか。節制から得られるメリットについては、医学的にも証明されており、理想であるのは百も承知ですが、しかしながら言うは易し、行うは難しです。
世界の五大医学誌のひとつとされるランセット誌において、本年9月にアメリカから、食について改めて考えさせられる論文が掲載されました。
糖質摂取量が、人々の体にどの様な影響を与えるかについての検証ですが、現在多くの国では糖質制限の是非が議論のテーマとなっており、一体糖質の適切な量とはどの程度なのかが非常に注目されています。肥満の方々の短期的な減量という目的を除いて、糖質を制限する事が果たして全ての人に良いのか悪いのか、実際には明確に分かっていないというのが現状です。
この研究では、1日の食事において、炭水化物としてのエネルギー(カロリー)量が総エネルギー量の50~55%を摂取していた人が、40%以下または70%以上の人と比べて、最も死亡率が低かったという事が明らかになりました。糖質摂取過多が体に悪いのは明白ですが、ではごはんやパンをできるだけ少なくさえすれば単純に良いのかと思いきや、炭水化物を減らす事で(不足したエネルギーを補おうと)動物性たんぱく質の多いおかずにしてしまうと死亡率を上げ、またその反対に、大豆や魚等の植物性たんぱく質を多く摂っていた人の死亡率は下がるという結果でした。
最後まで論文を読むと、さほど驚きはない、至極まっとうではないかという風にも感じましたが、いわゆる赤身の肉食を中心とした、彼らにとっては伝統的なスタイルが、まさに健康には害であったという事実が示された研究でもあると言え、改めて和食の基本である大豆製品や魚介類を積極的に摂る事の重要性について理解しつつ、また欧米化され動物性脂肪に偏った現代日本人の食生活への戒めとして、この結果を受け止めました。
さて、私自身はどうかと言いますと、“ほぼ地中海食”を和風にアレンジしたスタイルを、もう何年も続けているのですが、効果があるのか、お陰様で体重や血糖値も正常範囲内に納まっている様です。
この地中海食というのは、健康を維持するための食事療法のひとつですが、至ってシンプルなもので、比較的継続しやすく、以下に沿って日々の食事の献立を考えるだけで良いというものです。
①豊富な野菜と適度なフルーツを取り入れる
②たんぱく質は肉よりも魚介類を多くする
③オリーブオイル、ナッツ、豆類、また全粒粉等の未精製の穀物を摂る
④牛乳やヨーグルトは低脂肪を選び、毎日欠かさない様にする
⑤じゃがいも、赤身の肉、加工肉、スイーツは週に1~2回程度に抑える
⑥お酒を嗜む人は、赤ワインを1日グラス1杯飲む
ただ、“ほぼ地中海食”としている理由は、実はひとつだけなされるべき事が、決定的に行われていない為です。以前のコラムをお読み下さった方は、すぐにピンと来て、お分かりになったかと思いますが…
それは、⑤の「スイーツを週1~2回にする」という、地中海食のあまりにも厳しい掟です(涙)。
秋から冬の寒い季節に、パリの通りでは、遠くから甘い香りを漂わせる「屋台の焼きたてクレープ」が登場します。日本で言えば、ほかほかの石焼いもにでも相当するでしょうか。フランスの冬を象徴する物のひとつです。
極甘党にとって、あの濃厚で美味しいマロンクリームのたっぷり入ったクレープが食べたくなると、ほんの少しだけパリが恋しくなります。
ただ、糖質の多いスイーツばかりでできた自らの体を想像する事は、あまりしたくはありませんね。食という漢字は、「人を良くする」、その様な意味を持つそうですから…。
まずは、1日1回「You are what you eat」と唱える事が肝心の様です。
2018.10.28 23:15
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