コラム

今ひとり一人が考えるべき事について

人類の歴史は感染症との戦いです。
治療薬やワクチンを武器として、これまでに私達は様々な種類のウイルスを制していますが、世界的に感染拡大している新型コロナウイルスの様な未知のウイルスは、まさに手探りで攻略法を探してゆくしか術がないとも言えます。
これから多くの時間を要する長期戦となりそうですが、その間にひとつでも尊い命が失われるという事を回避すべく、全ての人が高い意識を持って行動しなければなりません。

「桜は来年も帰ってきます。人の命は帰ってきません」
これは、ノーベル賞を受賞されたIPS細胞研究者の山中伸弥教授が、特設ウェブサイトで国民に発信された言葉です。

 ◇山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
   https://www.covid19-yamanaka.com/
     「研究所員へ送った所長メッセージ(抜粋)」より

満開の桜は、今年見逃したとしても、また来年に咲く花の姿を見られますが、人の命は、桜見たさに出掛けて、もし花と引き換えになる様な事があれば、もう二度と戻ってはこないのです。
心に直接訴えかけるこのメッセージは、大変考えさせられるものでした。

日本の若者の「ナイーブさ」が世界でも批判されていますが、ひとり一人の行動が、社会にとって、そしてこの人類にとってどの様な意味を持つのか、それをもっと真剣に考えなければならない、これほどパンデミックは深刻なものであるという事です。
人にはそれぞれの死生観があるでしょうが、しかし今取るべき行動について、頭でよく考え、自分ひとりのためでなく、他者のためにも自らの在り方が問われていると、意識する必要があるのです。
命の重みを知り、人はどう生きるのかという哲学的な問いに、全てが対峙する貴重な時間を与えられていると言えるでしょう。

新年度の4月からは、私自身の演奏活動も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、しばらくお休みとなります。
新型肺炎を音楽で治療する事は叶いませんが、コロナショックやコロナブルー(うつ)による心の不安を少しでも軽減できる様に、ご自宅でCDやYouTubeによるクラシック鑑賞が許されるならば、それが穏やかさを取り戻す事に幾らかでも寄与し、人々を救済するための手立てとなる事を願って止みません。







2020.03.31 23:05

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