謎解きの魅力とは
母校である英国王立音楽院は、コンラン・ショップやキャス・キッドソン等のスタイリッシュなショップが立ち並ぶロンドンの瀟洒な界隈にあり、音楽院周辺では観光客が訪れているのをしばしば見掛けます。付近にはシャーロックホームズ記念館がありますが、音楽院の最寄り駅にはシャーロックホームズの銅像も建てられており、いつもその前を通る度に、小学一年生の頃を懐かしく思い起こしながら、学びを深める地にロンドンを選んだのも、何かの縁なのかしら… とも(少し大袈裟に)考えておりました。
その理由は、ちょうど小学校に通い始めた7歳の頃、児童向けに書かれた「名探偵シャーロックホームズ」の名作シリーズを貪る様に読んでいたからです。シャーロックホームズに特別な関心を抱いたのは、彼が初めて謎解きの魅力というものを教えてくれた故でした。
自身も探偵になったつもりで犯人を推理してみると、単にストーリーを味わう面白さだけではなく、作品と自らが一体化して楽しめる様な、スリルと臨場感がありました。
謎解きと言えば、小学生の頃には、またマジック(手品)にも大変興味を惹かれました。
カードマジックの虜になって、わくわくしながら本でトリックを学び、実際に自分でもトランプで練習する等してみました。
また初代の引田天功さんによる脱出のイリュージョンを映像で見て、一体このトリックはどうなっているのだろう、ひたすら考えるのですが、子供には(いや、大人でも)わかるはずのない、その壮大なアートの様なマジックには驚嘆しました。
当時は、デパートの玩具売り場にたくさんの手品グッズが置かれており、それを何種類も購入して、読者の方々には笑われるかもしれませんが、プロのマジシャンみたいになりたい、彼らが持っているテクニックと同じレベルのものを習得したいと願いながら、ひたすら独学で練習を重ねました。
しかし、同じ指を使うピアノは、さらえば上達しましたが、何故かマジックの方は、どういう訳か、悲しいほど才能が無かったのです…。
当時のクラスの友人に披露してみましたが、上手くやったつもりでも、すぐにトリックがバレてししまうのでした。
どれほど考えても、トリックがわからない所にマジックの醍醐味がある様に思いますが、私は子供さえも騙せない様なレベルの低さでしたから、もはやマジックとして成立しておりませんでした…。
推理小説然り、マジック然り、その様な謎解きが好きな子供時代を過ごしましたが、中高生になると、今度は「心」の謎解きの方に、関心を持つ事となりました。
それは、フロイトの「夢判断」や「精神分析入門」と言った、これもまた壮大な作品に出会ったからです。
邦訳されたものは、難解な文章が多く、ページを進めるのに時間を要しましたが、無意識というものに初めて触れ、また自分ではない誰かの心をみる、人間の心(実際には脳でしょうか)、について探求する、その様な世界があるのだという事を知り、そこから心理学に関する著書を読む様にもなりました。
フロイトの作品は、大人になってから、勉強のためにフランス語でも読んでみましたが、原著がドイツ語で書かれているからでしょうか、やはり邦訳よりは内容が理解しやすい様に感じられました。
人の心について知るという事は、未熟な十代の者にとり、興味深いと共にいささかの恐れも感じましたが、誰かの心を「聴く」、という事については、(本当はできるはずはないのですが)、既に幼稚園生の頃には分かって(?)おりました。
当時は風邪を引くと、すぐに扁桃腺が腫れて高熱が出たため、その際には近所のかかりつけの小児科の先生の所にお伺いしていました。お優しい先生でしたが、アルコール消毒液の臭いのするクリニックに行く事を、私は恐怖の様に感じており、診察中には「早くおうちに帰りたいな…」と、心の中で何度もつぶやいていました。
しかし、聴診器で心臓の音を聴かれる時だけは、そのつぶやきを止め、心を無にして、完全なサイレント状態にしました。そうしないといけない、と頑なに思っていたのです。
何故なら、聴診器を胸にあてられると、心の中で考えている事が先生に聴こえてしまう、と本気で考えていたからでした(!)
大人になっても、未だにその名残でしょうか、聴診器で診て頂く際には、禅のごとく、自然と心が無になります。
さて、フロイトがこの様な事を知ったら、呆れて笑ってくれたでしょうか…
その理由は、ちょうど小学校に通い始めた7歳の頃、児童向けに書かれた「名探偵シャーロックホームズ」の名作シリーズを貪る様に読んでいたからです。シャーロックホームズに特別な関心を抱いたのは、彼が初めて謎解きの魅力というものを教えてくれた故でした。
自身も探偵になったつもりで犯人を推理してみると、単にストーリーを味わう面白さだけではなく、作品と自らが一体化して楽しめる様な、スリルと臨場感がありました。
謎解きと言えば、小学生の頃には、またマジック(手品)にも大変興味を惹かれました。
カードマジックの虜になって、わくわくしながら本でトリックを学び、実際に自分でもトランプで練習する等してみました。
また初代の引田天功さんによる脱出のイリュージョンを映像で見て、一体このトリックはどうなっているのだろう、ひたすら考えるのですが、子供には(いや、大人でも)わかるはずのない、その壮大なアートの様なマジックには驚嘆しました。
当時は、デパートの玩具売り場にたくさんの手品グッズが置かれており、それを何種類も購入して、読者の方々には笑われるかもしれませんが、プロのマジシャンみたいになりたい、彼らが持っているテクニックと同じレベルのものを習得したいと願いながら、ひたすら独学で練習を重ねました。
しかし、同じ指を使うピアノは、さらえば上達しましたが、何故かマジックの方は、どういう訳か、悲しいほど才能が無かったのです…。
当時のクラスの友人に披露してみましたが、上手くやったつもりでも、すぐにトリックがバレてししまうのでした。
どれほど考えても、トリックがわからない所にマジックの醍醐味がある様に思いますが、私は子供さえも騙せない様なレベルの低さでしたから、もはやマジックとして成立しておりませんでした…。
推理小説然り、マジック然り、その様な謎解きが好きな子供時代を過ごしましたが、中高生になると、今度は「心」の謎解きの方に、関心を持つ事となりました。
それは、フロイトの「夢判断」や「精神分析入門」と言った、これもまた壮大な作品に出会ったからです。
邦訳されたものは、難解な文章が多く、ページを進めるのに時間を要しましたが、無意識というものに初めて触れ、また自分ではない誰かの心をみる、人間の心(実際には脳でしょうか)、について探求する、その様な世界があるのだという事を知り、そこから心理学に関する著書を読む様にもなりました。
フロイトの作品は、大人になってから、勉強のためにフランス語でも読んでみましたが、原著がドイツ語で書かれているからでしょうか、やはり邦訳よりは内容が理解しやすい様に感じられました。
人の心について知るという事は、未熟な十代の者にとり、興味深いと共にいささかの恐れも感じましたが、誰かの心を「聴く」、という事については、(本当はできるはずはないのですが)、既に幼稚園生の頃には分かって(?)おりました。
当時は風邪を引くと、すぐに扁桃腺が腫れて高熱が出たため、その際には近所のかかりつけの小児科の先生の所にお伺いしていました。お優しい先生でしたが、アルコール消毒液の臭いのするクリニックに行く事を、私は恐怖の様に感じており、診察中には「早くおうちに帰りたいな…」と、心の中で何度もつぶやいていました。
しかし、聴診器で心臓の音を聴かれる時だけは、そのつぶやきを止め、心を無にして、完全なサイレント状態にしました。そうしないといけない、と頑なに思っていたのです。
何故なら、聴診器を胸にあてられると、心の中で考えている事が先生に聴こえてしまう、と本気で考えていたからでした(!)
大人になっても、未だにその名残でしょうか、聴診器で診て頂く際には、禅のごとく、自然と心が無になります。
さて、フロイトがこの様な事を知ったら、呆れて笑ってくれたでしょうか…
2024.03.30 23:35
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