コラム

「第6回川棚・コルトー音楽祭」のお知らせ

さて、本年も桜咲く春の待ち遠しいシーズンが到来致しました。
ヨーロッパでは、この時期になりますと、どんよりとした雲と雨の多い冬のお天気に、漸く明るい日差しが戻って、カフェでは一斉に(未だ日中でも寒い気温ではありますが)、外のテラスでお茶やランチを楽しむ人々の光景が見られる様になります。
シューマンやシューベルトのリートにしばしば登場する、春の高揚した感情や、比喩的に恋心を歌ったものは、こうしたヨーロッパ独特の長く重い冬の気候を経て、まさに待ち焦がれて体感する春のイメージですね。
実際に経験すると、詩の中の言葉がとてつもないリアリティを持って、まるで自身が抱いた感情の如く、大変身近に感じられます。

毎年春の訪れと共に、美しく優雅なアンサンブルをお届けしている「川棚・コルトー音楽祭」も、本年が第6回となりました。
この度は、フランスよりヴァイオリニストのオリヴィエ・シャルリエ氏をお招きし、ピアニストの新井由佳梨氏が加わって、皆様にはデュオ(二重奏)の醍醐味をお楽しみ頂けるコンサートです。
コルトーの「十八番(おはこ)」であり、生前にはマニュスクリ(手稿であるオリジナルの楽譜)まで手元にあったとされる、思い入れの大変強かったフランクのソナタの演奏を披露されます。
コルトーへのオマージュと共に、ヴァイオリン・ソナタの王道とも言えるべく全3曲からなる構成で、クラシックファンにとっては聴き応え充分のプログラムです。

とりわけ、フランクは難曲であり、単なるデュオの域を超えて、大変な音楽性と構築性が必要とされ、そして何より技術的な力を備えた、双方の演奏に於ける安定性が求められます。
まさに、弦楽器とピアノが対等であり、真の音楽的コミュニケーションと対話が、舞台で紡ぎ出される訳ですが、贅沢にも非常に身近な距離で、コルトーの愛した川棚の、コルトーホールという空間で、耳と肌で感じ大いに楽しめる事を、私自身も期待致しております。
皆様も是非一度、川棚コルトーホールへ、五感で味わえる音楽祭を聴きにお越し下さいませ。

第6回川棚・コルトー音楽祭 「京都フランス・アカデミー特別演奏会」
 日時: 2015年4月4日(木) 午後7時開演(午後6時30分開場)
 場所: 川棚コルトーホール
 出演: ヴァイオリン オリヴィエ・シャルリエ
      ピアノ 新井由佳梨
 プログラム: ブラームス 「ヴァイオリン・ソナタ第1番 “雨の歌” 作品78 ト長調」
          グリーグ 「ヴァイオリン・ソナタ第3番 作品45 ハ短調」
          フランク 「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」
 
 チケット: 前売り 一般3000円  高校生以下1500円 (当日は500円増し)
 お問い合わせ: 川棚の杜 Tel 083-774-3855
 

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