コラム

コインの使い道

さて、7月3日より、日本では20年振りとなる新紙幣が発行されましたが、いち早く手に入れたいと願う人達が、競う様に銀行等を訪れている様です。
私も、つい最近ですが、郵便局での支払いの際に、北里柴三郎さんが描かれた千円札をお釣りとして頂きましたが、初めて手にしてみると、紙の独特の質や厚さを感じたその手触りと、印刷された数字から、何となくユーロ札を思い起こし、懐かしさを覚えました。
しかし後日、今度は新しい一万円札を実際に目にして、千円札と比べてみると、ふと、威厳のある北里柴三郎さんのお顔は、むしろ一万円札の方がしっくりとくるのではないかしら、と感じたのは何故かと思われましたが… 自身でも定かではありません。
では、紙幣に選ばれる偉人と呼ばれる方々は、どの様な理由で決定されているのでしょうか。
そこで、グーグル先生に尋ねてみた所、以下の様な答えが返ってきました。
紙幣に描かれる肖像画の基準として、近年では:①偽造防止の観点から、なるべく精密な写真を入手できる事、②肖像彫刻の観点からみて、品格のある紙幣にふさわしい肖像である事、③肖像の人物が国民各層に広く知られており、その業績が広く認められている事、といった観点を踏まえて、明治以降の人物から採用されているのだそうです(財務省のウェブサイトより引用)。
私がとやかく言える事ではありませんが、新紙幣に選ばれたお三方は、これらの条件を全て満たしている、日本を代表すべき偉業を成した方々であるのは全くの事実です。

それはさておき、お金と言えば、フランスで支払いの際に、無意識のうちについ日本人の癖が出てしまい、店員を困らせてしまう(?)事がありました。
よく日本では、6350円と言った様な金額の場合に、10350円を手渡す(現在は機械に投入する)という事がある様に、それと同様の支払い方を向こうのスーパーマーケットや市場でやってしまうと、彼らは幾らお釣りを返したら良いかわからなくなるので、余計なコインは出さないで欲しい、と言われてしまうのです。
少しだけ暗算が得意ではないのかもしれませんし、元々その様な支払い方法の習慣がないからかもしれませんが、そうした状況では、フランスでも英国でもそうですが、いつの間にかコインが家の中にたまってきてしまうのです。
あちらにはジュースの自動販売機もありませんし、時折、楽譜をコピーする際にコインを使う事はあっても、その機会はさほど多くはなく、はたまたお店でコインばかりをお財布から探して支払うのも面倒であり、時間も掛かると感じて、留学当初、フランス人の同級生に、皆は沢山たまってしまったコインをどの様にして使うのか、その使い道について尋ねてみました。
すると、「それは簡単よ、チップのためにとっておけば良いんじゃないの?」、あっさりと答えられてしまいました。
そうかなるほど、文化の違いは至る所に存在しているのだと知った、今では懐かしき良き思い出です。

2024.07.31 23:55

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